第88回目 高収益トップ3%倶楽部 東京勉強会
日時:2009年04月07日
今月のハイライト
「課題を持って人と向き合う」ことで組織は作られる
みなさんは、人を教育することについて、どんな風に考えていますか?
いつもお話していますが、業を起こす、つまり起業することと、経営することは違います。
ビジネスを作って、儲かったら「成功した!」と思ってしまう社長さんがいますが、これは「業が立ち上がった」だけで、「企業の経営者として成功した」、とはいえません。
起業して現場を引っ張る社長から、人を採用したり、育成したりして、現場を離れて組織を運営することで会社を継続・発展させられる社長に脱皮していかなければ、本当の意味で「経営している」とはいえないわけです。
モノを売ってこれる人か、人が作れないモノを作れる人は起業はできると思いますが、経営者として成功できるかどうかの最大のハードルは、この「組織化」や「組織運営」の問題です。そしてこの組織化の成否を決めるのが、まず経営者が人を教育し、育成できるかどうか、ということなんです。
組織運営の成功と失敗を分けるポイント
会社全体の組織運営を考える上で、まず重要なのが、No.2とNo.3、つまり社長の右腕・左腕のポストですが、実はこの右腕・左腕が「どのようにできあがっていくか」は、組織化の成功失敗を分ける、とても大きなポイントなんです。
もちろん「No.2は外から連れてくる」という会社も多いと思います。その場合、きちんと環境を用意して、期待する役割を良くわかってもらった上で迎え入れ、その後も右腕として機能してもらえるよう、コミュニケーションをしっかり取っていく・・・ということをするわけですが、こういう風に元々能力のある人を外から迎え入れる場合であっても、「その人を育てる」という気持ちを持っておくことは、やはり大事なことです。
なぜかというと、組織運営の中核を担うNo.2やNo.3を、社長がきちんと関与して育成した会社は、強い組織が作りやすく、高い確率で上手く行きますが、反対に、「社長が関与しないところで、No.2が勝手に育ってしまった」というような会社の場合、コントロールが効かず、組織がおかしくなってしまうことが多いからです。
経営者が組織の中核を担う人間ととことん向き合い、自分の思いや期待を理解してもらい、足りないところは努力して改善してもらう・・・ということをしてきていない会社では、いくら職務の能力が高い人たちが集まっていたとしても、組織になっていかないんです。
人と向き合うことの大切さ
そもそも「人が育つ」とはどういうことかというと、まず「知識や技能が身について職務能力が上がること」と、1人の人間として、「考え方や生き方がより良く変わる、人格が向上する」という2つの要素があります。
これら2つのうち、前者の方は、教えたり伸ばしたりするのにあまり苦労しませんが、組織化とか、組織の運営などを考える上で決定的なのは、後者の人間性に関わる部分です。
特に最近、「人を変えられない、変えた経験がない」という社長さんが多いと感じることがよくあるのですが、これらの社長さんに共通していることは、「人と関わってない、向き合ってない」ということです。
経営者であっても役職者であっても、苦労しながら誰かと人と向き合って育成した経験、人を変えた経験をしてない人は弱いです。これではいくら実務能力が高くても、その人の下に強い組織を作っていくことはできないんです。
私がお世話している会社で聞いてみても、上司部下の間で、相手の考え方や性格に口を出す、というようなことはほとんどされてません。みなさん「そんなこといっちゃっていいんですか?」みたいな感じですね。
課題を持って人と向き合う
でも、ある程度実務に自信を持てるように育った人に、その先があるかどうかは、性格とか考え方で決まってしまうんです。
例えば、あなたの下に、いつも同じような失敗を繰り返してしまう部下がいたとします。その部下に、いくら表面的に仕事のやり方を注意していても、恐らく何も変わらないと思います。
その人とちゃんと向き合って、抱えている問題の核になるところを直すことをしない限り、その人自身も、部下を育成する幹部としてのあなたにも成長はないでしょうし、問題はくり返し起こり続けます。
ただ、人が抱えている問題の核になってるような部分は、相手も触って欲しくないところだったりする場合が多いので、本人が自分を良い方に変えて行けるようにサポートするときも注意が必要です。
具体的には、その部下がある程度仕事ができるようになって自信がついてから、いろんな質問とかアドバイスをしていくわけですが、とにかく分かっておいていただきたいのは、課題を持って人と向き合うことがいかに大切か、ということです。
大切なのは、核になっている問題、ウィークポイントを表に出してあげることと、言いはじめたら直るまで言い続けてあげることです。3年かかると思ってください。また、能力があればあるほど時間がかかります。
こんな風に人を育成したり、より良く変わっていく手助けをすることは簡単ではありません。ただ、もし各役職者が本当に人と向き合って変えた経験を持ったとしたらとんでもなく強い会社になります。組織なんていくらでもできますよね!
結局、会社が組織化して発展していくとはどういうことかというと、経営理念に向かって上司・部下が課題を持って向き合い、その課題をクリアしていくことによって組織力を高めていく、ということなんです。
その最初のベースになるのが、冒頭にお話した、トップがNo.2、No.3とちゃんと向き合って育てるということで、それが下に波及していく、ということなんです。
今月のゲスト
株式会社 日本経営教育研究所 専属コンサルタント 川勝 宣昭 氏
今月のゲストは、日産自動車、日本電産を経て、現在CKPLAT日本経営教育研究所の専属コンサルタントとして活躍していただいている、川勝宣昭さんです。
日産自動車では広報室渉外課長、企画室次長、中近東アフリカ事業本部長、南アフリカ日産代表などを歴任、その後日本電産で「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」の永守流経営にどっぷり漬かって、M&Aした企業の経営再建を成功させて来ました。
現在はそれらのご経験で培ったノウハウを活かし、当社クライアントの中堅規模から一部上場企業の営業チームの立て直しをメインにコンサルティングをしていただいていて、どのクライアントもすばらしい成果をあげています(*^^)v
今回は、川勝さんがこれまで経験されてきた経営再建の事例なども交えて、現在取り組んでいる営業チームの立て直しの内容や秘訣を、具体的にあますことなくお話いただきました!
「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」
~日本電産、永守社長の経営手腕と営業部隊の機関車化戦略とは~
これからの経済情勢を知っておく
講演は、まずこれからの経営環境を知るために、アメリカと日本の経済情勢について、各種の統計データを使った分析と詳細な説明からスタートしました。
「100年に一度の不況」と言われる昨今の経済情勢ですが、新聞その他のメディアでは「すでに底を打った」といった楽観的なコメントをする経済アナリストや評論家も出てきています。
しかし川勝さんは、世界恐慌や日本のバブル崩壊後の景気後退の足取りなどを振り返りながら、「今回の不況はまだまだ長期化する可能性も高く、今後数年のデフレ懸念の方がより深刻である」という見解を示し、より厳しい環境下での経営の舵取りを行っていく覚悟が必要であると訴えます。
デフレ状況下でも勝つ日本電産式経営とは?
では、そんな厳しい状況下で生き残って行くにはどうすればいいのか?ですが、今、大企業がこぞって採用している縮小均衡路線、という選択肢は、中小企業にはありません。
この難しい課題への川勝さんの答えは、とてもシンプルで、かつ強力なものでした。
1.営業機関車化
2.断トツのコスト追求
3.損益の週次管理
営業機関車化とは、「営業部門が機関車の先頭となって全社を引っ張って行く」という考え方で、例えば売価が半分になっても営業がこれでまの2倍売って売上げを死守するのと同時に、営業が引っ張って走りやすいように、後続列車である開発や製造、管理部門も身軽にしていく、ということです。
例えば、開発部門は、開発にかかる期間を圧倒的に短くする(2年かかっていたものを6ヶ月、とかが普通だそうです)、生産部門は、デフレ下で下がりつつける売価や営業がお客様から受けた指値(指値を受ける、というのが日本電産の伝統だとか)でも利益を発生させられるよう、極限まで「断トツに」原価を下げて行く(仕入れは5段階交渉、お茶葉に至るまでのすべての購入価格を一律3割カットしないと稟議を上げられないしくみにする、ナド)...という、まさに血の滲むような努力を全社一丸となって行うわけです。
これらの努力は、世の中の厳しい水準に全社をあげて挑戦し、達成していく、ということでもありますから、こういう試練を乗り越えて経営再建を果たした企業は「本当にピカピカの企業に生まれ変わる」といいます。
営業を自立させ、組織化するために
ただ、みなさんに気をつけてしていただきたいのは、川勝さんは、営業マンにただ「がんばって来い」と送り出しているわけではないということです。
経営状況や自社のリソース、強み弱み、顧客やマーケットの分析から入り、営業チームにはマーケットの地図を使って「どこをどう攻めるか」といった戦略を示しながら、週次で営業チームをフォローアップして行く・・・といった、しっかりとしたロジックに裏打ちされた戦略ときめ細かいフォローを行っているから、営業チームもついてくるんです。そうして鍛えられた営業チームは、自ら考えて組織で動ける営業部隊へと育ち、それが組織に根付いていきます。これは、きちんとした戦略とリーダーシップがあって始めてできることです。
今回は時間の関係上、川勝さんがコンサルティングの現場でやられていることの半分もご紹介できなかったかもしれません。興味のある方は、何かの形で改めてお話しいただく場を設けますので、ぜひご連絡ください。 (*^^)v
参加者の感想
- 社員教育がこんなに重要だとは考えていなかった。人と向き合うとは、こうだったのかと反省しました。ゲストの講演については、デフレ対策分析を含めて素晴らしかったです。
- 日本電産の3大精神の実際について、詳しく教えていただいて感謝しています。全ての予定をキャンセルして、勉強に参加させていただきましたが、とても有意義な勉強会でした。ありがとうございました。
- ゲスト講演のデフレ再来という話を聞いて、最悪のケースを想定するきっかけを頂けました。
- 今まで聴いたゲストの中で、最も自分のスタイルに合っていて共鳴できました。やはりスピードと売りが大事だと再確認しました。「2倍売る」と言うのは単純ですが素晴らしいと思います。当たり前ですが気づかないトコロです。
- 「自分を高めるために、孤立ができない人はダメ」・・・そう思いました。初めて参加しましたが、とても楽しく役立つ話でした。自分がこれからとるべきスタイルが明らかになりました。
- 「イヤな点を早めにオープンにしてあげないとかわいそう」という言葉は胸に響きました。とても良かったです。
- とても面白く、興味深く拝聴させていただきました。いつも本当に役に立つ内容をありがとうございます。
やはり「ライブ」で学ぶと、吸収度がかなりアップするようですね(*^^)v 来月も、みなさんのご参加をお待ちしています!
今後の勉強会予定
今後の開催予定・お申込みページをご覧ください。
一般の方のご参加もお待ちしております。早く定員に達することもありますので、できる限りお早めにお申込みされることをおすすめします。



























