日時:2009年10月05日
第94回目 高収益トップ3%倶楽部 東京勉強会
今月のハイライト
組織のリーダーに必要な資質とは
組織リーダーに一番必要なモノ
リーダーになれるかどうかは、その人のなかに、こうした「判断の基準」を持っているかどうかにかかっています。いつまでたっても、社長や上司の判断を仰がないと仕事を先に進められないような人物では、リーダーの資質がありません。私は、こうした資質を、『01(ゼロイチ)思考』と呼んでいます。ゼロからイチを発生させられる人、という意味合いです。
人間の能力には大きく分けて、何も無いところから何かを発生させる能力を持っている人と、何かの形なりセオリーがあればそれを広げていける人の2種類があると考えているのですが、前者の資質がない人物には、どんな場合でも仕事を任せることは出来ないと私は考えています。
物事の判断とは、「その広さと時間的な速さ」によって、正しいことが正しくなくなるような世界です。たとえば、今月どうしても売上げを上げたいのは山々でも、今日、目の前の人にモノを売ることが、長期的な視野で見た場合正解か否かは微妙なところです。リーダーにそういう判断力がないと、仕事は思うように進んでいきませんから、ぜひ、『01(ゼロイチ)思考』を持った人物を採用したいものです。ちなみに、この『01(ゼロイチ)思考』は、30歳位までに突出していないと無理かもしれませんが...。
特に中途採用するときには、その方の過去の経歴を聞くなかで、「ゼロイチ思考」ができる人か、言われたとおりにやってきただけの人なのかを見極めることが重要です(ちなみは当社は、「アセスメント」でこうした判断をするサービスもやっています)。判断ができるようになると、その人の周りにビジネスが発生しますし、その人の持っている判断力の「広さと速さ」がある枠を超えると、より大きなビジネスチャンスが飛び込んできたりするものです。
「01(ゼロイチ)思考」+「責任感」+「目標遂行能力」
この『01(ゼロイチ)思考』に加えて、私がリーダーの資質として大事だと思っている能力は、『責任感』と『目標遂行能力』です。リーダーの資質はこの3つ、と理解してもらってもいいでしょう。リーダーは責任を取り、決めた目標は絶対達成するべきなんです。
では、「責任を取る」とはどんなことでしょうか。ちなみに私は、もともと甘えん坊な性格でしたが、27歳のとき、どんなことがあっても人を頼らないことを決めました。「依頼心はめんどくさい」と気づいたからです。人間関係のトラブルは、ほとんどこの依頼心から生まれます。一旦、人にお願いしちゃったら、その人がやってくれない限り先に行けなくなりますよね。だから、トラブルになるんです。
組織のなかでは、「勝手に」責任を取り始めた人が「リーダー」になるべきです。大変な問題が起きた場合、その問題解決のために、「勝手に」責任感を持ち始めた人が「リーダー」なんです。社歴は関係ありません。責任感というのは、与えられて身につくものではなく、「決めた」からできるものだからです。もちろん、最終的に責任をとるのは社長なわけですが、この「自分が勝手に責任をとる」と決められるかどうかが、リーダーに欠かせない資質だと思っています。
そして、もうひとつが、「目標遂行能力」、目標を達成していける力ということですね。もちろん、タイプはいろいろありますが、何かしらの自分の経験や技能やスキルで結果を出していける能力がリーダーにはどうしても必要です。会社には残酷な面があって、社歴が長ければ長いほど、後に入ってきた人が優秀になるものだからです。ですから、リーダー候補の人には、目に見える結果を出すことで、「後輩に負けない自分を作る」ということを、早めに教えておいてあげる必要があります。
結局、企業の建て直しは、「リーダーを見直すこと」と言っても過言ではありません。経営者とリーダーの「仕事観」や「人間観」が一致してさえいれば、過程に細かい指示を出さなくとも、結果が出るものなのです。リーダー育成とは、その資質を持った人に、自分の姿を見せながら伝播させる、といった感じです。部下から「ああなりたい」と思われる仕事ができる人が社内に5人誕生すれば、まずはOKでしょう!(^^)!
最近よくお話しするんですが、近年、世の中の変化が本当に速くなっています。経済環境なども、短いサイクルで激変しますよね。そんななかで、最終的に企業を強くするには、「人を育て、組織を強くすること」しかないと考えているからです。
とは言うものの、社内を「変える」のは口で言うほど簡単なことではありません。人間は、なるべく"安全な洞窟"から出たくないので、ともすると、毎日同じことをやりたがるものだからです。しかし、毎日同じことだけをしている会社が、「継続発展」していけるはずもなく...押し寄せてくる「変化」に対して的確に「判断」していけるリーダーを作らない限り、会社が生き残っていけるはずもない、と思っておいてください。そこへ向かってまずどうするか。まずは、今日から自分は勝手に責任を取ると「決める」ことでしょう。決意は1回すればいいというものではなく、3ヶ月くらいは「毎日決意する」と思ってください。決意が習慣になればしめたもの。そこから、『組織化』が進んでいきます。
今月のゲスト
株式会社ダイワハイテックス 常務取締役大阪支店長 嶋田宏氏
ダイワハイテックスは東京板橋区にある名門企業で、1980年より「きれいな本をお客様に」を理念に、全国の書店に「コミックシュリンカー」や「書籍関連備品」などの企画・開発・販売を中心に活動しています。強いビジネスモデルと商品開発力で、東京商工会議所の「第一回勇気ある経営大賞特別賞」を受賞、経済産業省「元気なモノ作り中小企業300社」に選定、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」にてテレビ放送・・・など数々の受賞歴やメディア掲載実績を持っている会社です。そのダイワハイテックスにおいて、躍進の中心人物となっているのが、今回講演してくださる常務の嶋田さんです。タイトルもズバリ!「30年増収増益のビジネスのしくみを惜しみなく一挙に大公開!」。嶋田さんの飛びぬけたビジネスセンスにご注目ください。
30年増収増益のビジネスのしくみを
惜しみなく一挙に大公開!
コミック本を包装すると書店の売上げが伸びる!?
「私もみなさんと同じように、元は"石原塾" の生徒でした」のひと言から始まった嶋田さんのお話。2003年に『営業マンは断ることを覚えなさい』を読んで、大阪勉強会に参加したのがきっかけで、その後、『成功曲線を描こう』を読んで、すっかり石原ファンになっていただいたようです。ダイワハイテックス社の成長曲線と、本にあった成功曲線が一致していたことから、ものすごく親近感を覚えてくれたみたいです。
まず、最初に見せていただいたのが、今年7月に開催された「東京国際ブックフェア」の映像です。同社の基幹事業は、コミックシュリンカーおよび同包装資材の開発、製造、販売ですから、お客様は100%「書店」です。ですから、全国の書店さんが集まるこの展示会はまたとない機会。しかし、ご存じのように、今は「展示会でモノを売る時代でなない」ので、同社のブースは、歩き疲れたお客様に、「お茶を飲んで休憩してもらおう」というコンセプトのもと、「シュリンクバー」として出展したのだそうです。お客様のニーズを捉えるとは、まさにこういったことですよね(*^^)v
嶋田さんは、「商品やサービスやマーケットが違っても、発展していく考え方は同じだと思う」と力強くおっしゃいます。ビジネスを発展させるためには、「お客様が本当に望んでいること」をかぎ分ける力が必要なのです。同社は、コミック本をシュリンク包装するための機械や資材を提供する仕事をしているわけですが、お客様が書店でお金を出して本を買う場合、できるだけ「きれいな本を買いたい」と考えています。マンガ本の場合、とくにこの傾向は顕著で、立ち読みした本は絶対に買いません。その書店にシュリンクした本がない場合は、別の書店にわざわざ出向いて買う方も少なくないそうです(――;) ですから、包装すると、15%くらいは書店さんの売上げが伸びるらしいです。決して、立ち読み防止のために包装しているわけではないんですね。同社は、「きれいな本をお客様に!」をミッションとして、ずっとがんばってきたわけです。
「事業成長発展のコンセプト」を明確にせよ
嶋田さんは、たとえ好況でも不況でも、事業が成長発展するためには、たった2つの原則しかないと考えています。ひとつは「お客様の数を増やす」こと。そしてもうひとつが「そのお客様に繰り返し購入していただく」ことです。この2つを同時に実行して、初めて成長発展が可能となると考えていて、これが同社の戦略課題でもあります。
しかし、経済が右肩上がりのときには、マーケットが常に拡大傾向にあったので、「新規訪問件数」がキーになりましたが、今、および今後はそうはいきません。ですから、今後は「流出顧客を防ぐことこそ、最大の戦略である」と嶋田さんは考えているのです。つまり、「既存顧客とどう信頼関係をどう構築するか」が最大のテーマになっているわけで、このコンセプトがわかっているかどうかで、社員の行動が変わってくることをしっかりと見抜いています。
ですから、同社の社員には、毎年の事業計画発表会ではもちろん、何度となくこのコンセプトをインプットするので、「顧客化」の考え方が心底染み付いているといいます。これは、書店業界に限らず、どの業界でも大切なことですね(*^^)v
顧客化に向かって、同社が何をしているかですが、「顧客接点を増やす」ということを徹底してやっているそうです。まず同社は、メーカーでありながら、代理店方式はとらず、直接ユーザーである書店さんに販売をしているのです。会社設立当初は代理店方式をとっていたこともあるようですが、間に1社入ることで、修理の連絡の遅れなど、結果的にお客様に迷惑をかけたこともあり、今では全国約5千店の書店と直接取引しているそうです。
結果的に「お客様の近いところにいる会社」が勝つ!
代理店方式を取らず、メーカーが直接販売することは、口で言うほど簡単なことではないと思いますが、結局は「お客様の近いところにいる会社が勝つ」ことを十分わかっているので、同社はそこに向かって頑張れるのです。実際、お客様と身近に接していることで、「打つべき次の一手」をお客様の言葉から気づかされることも多いそうです。
とは言うものの、実際問題として、全国5千店の書店に足繁く通うわけにもいかないので、「ダイワレター」というニューズレターを作り、毎月配っています。これは、既存客ばかりでなく、まだ取引のない見込客にも配るので、今では7千部近く印刷しているそうです。嶋田さんいわく「情報はお客様から取りにくることはほとんどありません。つまり、こちらから発信し続けることが必要なんです」・・・これ、情報発信の極意かもしれませんね!
この「ダイワレター」、創刊当初はたった4ページだったものが、今では12ページにもおよぶ立派な冊子になっていて、その内容もすごく質の高いものになっています。「子供1日書店員体験」や「機械のメンテナンス方法」から、注目の書店員さんを紹介する「プロフェッショナル」のコーナー、同社「社長のつぶやき」など...バラエティに富んだ内容になっているのですが、これらをすべて自社で制作しているそうですから驚きです。こうしたニューズレターで商品を売り込んではいけないことをよくわかったうえで、「プロである書店の方に読んでもらえる内容か?」を常に意識して作っているそうです。自社で制作するのはかなり大変だと思いますが、「情報発信」に真摯に取り組むこと自体に、たいへんな価値があるのです(*^^)v
「猫の手キャンペーン」と「孫の手訪問サービス」を実施
こうした同社の姿勢は、情報発信ばかりでなく、その仕事に仕方にも顕著に表れています。「迷ったときは『お客様に喜ばれる』方を選択する」ということを、常に徹底しているそうです。絵に描いた餅ではなく、本当の「お客様第一主義」を貫いている会社なのです。「電話は2コール以内に取る」のは当たり前、新人さんは「山田花子です」というように、フルネームを元気に名乗り、少しでも早くお客様に自分の名前を覚えてもらうように先を争って電話を取るよう頑張っているそうです。
また、保証書は紙だとなくすので、あらかじめトリセツの裏側につけおいたり、保証期間満了の1カ月前にお知らせハガキを郵送するなどの細かな気づかいも忘れません。さらに、機械の修理に関しても、「こんなことまで!」と驚いてしまうようなお客様のための工夫がなされていて、こうした細かい工夫が総力となって、他社との差別化を果たしているんですね。
しかし、差別化はこれだけに留まらず、「独自のサービス」を展開することで、それを決定づけています。その独自のサービスとは、新店オープン時の包装を無料で手伝う「猫の手キャンペーン」と、先回りして機械を点検する「孫の手訪問サービス」です。「猫の手キャンペーン」は、まさに「猫の手も借りたい」ほど忙しい新規出店のときに無料でコミック本の包装をお手伝いするサービスなんですが、これは嶋田さんが大阪支店を設立したとき、誰一人お客様も知り合いもいない中で考え出したサービスなんです。
しかし、新規出店ともなれば、約3万冊のコミックの包装が必要です。書店側は「一冊10円」払ってもお願いしたいような仕事なわけで、東京本社では、実際その金額(つまり約30万円)で請負った実績もあったところ、大阪では「無料」するという嶋田さんのアイディアは、役員会議でずいぶんもめたそうですが...結局「お客様に喜ばれる方を選択する」という判断基準でその提案は通り、今では、この「猫の手キャンペーン」こそが、確固たる参入障壁になっているのです。
一方、「孫の手キャンペーン」は、「手のあいた社員は会社にいないで、お客様のところに行け!」という号令のもと、機械が故障する前に点検してしまおうという活動です。まさに、「お客様第一主義」を地でいく、かゆいところに手が届くサービスですよね(*^^)v ここまでやって初めて、競合他社との差別化ができるわけですが、これでも「安い」からという理由で他社に流れるお客様はいるといいます。
機械3割、消耗品7割のビジネスモデルに勝算あり
そうした中で、同社が「30年増収増益」を続けてこられたのは、そのビジネスモデルに秘密があります。同社の売上構成比を見てみると、「機械3割、消耗品7割」という、不況に強いビジネスモデルになっているのです。今はどの業種も、新規開拓は厳しいですから、同社でも新規客に売るのではなく、営業とメンテナンスがペアで、既存客1500店を回るように指示しているそうです。
これは、逆に言えば、不景気だからできることですが、そうやって回っていくと、おもしろいように仕事が発生するみたいです。機械の買い替え、他社からの乗り換えなどなど、動けば動くなりに結果は出るのです。嶋田さんは、あらかじめわかっていたことではありますが、下半期はこれを徹底的に実験したいそうです。
さらに、嶋田さんは、既存客とのパイプを太くした上で、次の一手も考えています。店頭の万引き防止のための「防犯カメラ」事業へ参入したのです。もちろん、後発ではありますが、これまでの顧客との関係性がものを言う世界ですから、今後の展開が期待できるところです。「ライバルは大手のほうがいいんです。小回りがきかないので、うちが勝てる可能性がありますから」と、どこまでも前向きな嶋田さんこそ、まさに「01(ゼロイチ)思考」の持ち主であり、嶋田さんの周りの社員たちは、それを伝播され続けています。
本来、収益上げた会社がその収益をどこに持っていくかは、税金対策ではなく、サービスのレベルを高め参入障壁を上げることなんです。その点でも、「猫の手サービス」は秀逸です。ライバルが勝とうとしたら、価格を下げた上で、今のサービスを全部やらないとダメなわけですから...。同社の詳しいビジネスモデルは、過去に「経営情報レポート」でも取上げていて、『経営情報レポート』合冊本 第四巻に掲載されているので、ぜひこの機会に読み返してみてください(@^^)/~~~
参加者の感想
- とてもシンプルな事業モデルで、すばらしい。久しぶりの参加でしたが、気合いと脳に活力が入りました。
- 石原先生の言われる事を継続して行う事で、現在の実績があることがよくわかった。
- 実践の中からの話で、大変参考になりました。大手と競うときには、かえって勝てるということも勇気づけられました。
- 業界が違っても、顧客接点を増やすなどあらためて勉強になりました。ありがとうございました。
- 地味なことの積み上げがすごい経常利益でびっくりです。
- 本当の「お客様第一主義」とは何なのか、を考えさせられました。
- 非常に具体的で判りやすいお話でした。ありがとうございます。
- 消耗品のリピートで安定化させることを実現されていることはすばらしいですし、真似できるよう、改善していきたいと考えました。
- 組織の話は、毎回聞いても斬新です。ありがとうございます。
来月も、ぜひ楽しみにしていてくださいね!
今後の勉強会予定
今後の開催予定・お申込みページをご覧ください。
一般の方のご参加もお待ちしております。早く定員に達することもありますので、できる限りお早めにお申込みされることをおすすめします。











































